「太平の世」の日本刀

「太平の世」などとも言われる江戸時代は、約250年以上も続いた稀にみる安定した時代でもあったようです。このように安定した時代に登場する日本刀は、これまで戦乱の時代の中で作られてきた日本刀の製法とは大きな変革が見られていたようです。この頃に現存する日本刀には明らかに大きな作風の変化が見られるなどとも言われております。これまでは大きく日本刀の作風や形式をまとめていいいますと、地域別に分かれることが多いのですが、江戸時代に作られる日本刀は、刀工個人が発信する形でのオリジナルな作風が色濃くみられるようになるようです。また大きなきっかけともなった出来事の一つに、これまで日本刀の主なる勢力が集まっていた備前地域が、度重なる災害や大洪水で破滅するといったような大事件が起きたことも、日本刀の変容に大きな影響を及ぼしているようです。これまで活躍してきた太刀は、打刀として重宝されるようになります。