偽物を買ってしまうと

以前から高いものは買わないが、ある刀剣商から60万円で購入したものが偽銘。買った刀剣商に交渉し引きとってもらうことにしたが、なかなか代金がいただけず、結局はその倍の金を追加し、二代京丹波を買った。その間1年間はいやな思いをしました。やはり中央の有名刀剣店でのみ買った方がいいのかもしれません。田舎刀剣商から購入した備州長船住与三左衛門尉祐定二尺四寸、完備せる古拵付のもの、中身は偽物。それ以来、中央の有名刀剣店でなければ買わぬことにしました。

また、保存協会発行の特別貴重刀剣の認定をうのみにして、短刀を購入A先生の鞘書のあるもの。後日 B氏は偽物、C氏は正真、A先生は認定当初は正真、現在研究の結果偽物―とうの諸説があるといいます。他には、光遜師の折り紙の付いた刀を刀剣商から買ったが、貴重審査の結果”銘不同意”で刀は再刃と断定され、買った値の五分の一で個人に引きとってもらうはめになんてことも。脇差で日刀保協会関係者で有名な鞘書のあるものを買いました。正真疑いなしと信じていました。ところが知人に見せると、偽物であると言われました。

ある旧家から子供の学資調達のために売りに出たもので、本阿弥光遜の鞘書と折り紙もあり、これを信用、銘も写真と照合したら同一と見受けられたので買ったが、井上真改と津田助広の合作刀。値段も十分の一、ちょっと錆びがあるが研げばいい―という言葉に乗せられ、失敗した。

日刀保の特別貴重刀剣(昭和三十四年九月)認定書付の刀で、本部の認定が正しいと思い買い入れ、家に帰ってみると、銘の細部と帽子が違い、偽物とわかりましたので、持っていた認定書四十五通を焼き捨てました。新々刀を刀剣商人より買いいれた。刀には、日本美術刀剣保存協会の有名な先生の鞘書もあり、特別貴重刀剣の証書も付いていたが、いずれも偽物であった。一体保存協会の認定書というものは真偽ということについては責任はないのか、他人を信じてはいけないことを痛感した。

友人の家で大阪の商人と初めて会い、その人の所持していた刀と小生所蔵の岩本昆賽の拵えと交換しましたが、その人は刀を○特が付いているといってだまし、そのまま音信不通になりました。拵えは大森英満の立派なもので、刀は小林伊勢守国輝二尺三寸七分、地鉄、刃文、銘ぶりともに立派なので本物と信じて買いましたが、日刀保の地方審査の結果偽物と判明したので、拵えのみ手元に置き、刀は友人のものと交換しました。数年後同じ日刀保の審査で特別貴重刀剣に合格しました。同じ刀が偽物になったり、正真になったり、自分の目を信ずるより方法がありません。こういった様々なケースで偽物の日本刀を手にしてしまうことがあります。気を付けても気を付けても良い日本刀を買うのは非常に難しいです。