重要文化財の短刀「一庵正宗」について

一庵正宗は、豊臣秀吉の異腹弟である豊臣秀長に仕えた横浜一庵が所持していたことから名づけられた短刀です。横浜一庵は、現在の奈良県に位置した大和国で5万石を領した人物で、豊臣秀長が亡き後は豊臣秀吉に仕えましたが、慶長元年(1596年)に発生した慶長伏見地震で圧死したとされています。
そして、豊臣秀吉の元へ渡った一庵正宗は、飯田城主の京極高知へ下賜され、徳川将軍家へと献上されました。その後は、江戸幕府3代将軍の徳川家光が彦根藩主の井伊直孝へと下賜し、直孝の孫である井伊直興から5代将軍の綱吉へと献上され、綱吉亡き後はその遺品として尾張徳川家の4代当主であった徳川吉通が拝領しました。現在は、重要文化財に指定されており、徳川美術館に収蔵されています。