権威の象徴だった日本刀

3世紀末頃に書かれた三国志の中の、『魏志倭人伝』には、当時の倭人の武器も記されていました。主に、矛・盾・弓などが使われていたそうで、刀については書かれていませんでした。つまりは、軍隊の武器として刀がそこまで使われていなかったということです。この当時、刀は矛や弓矢に比べて高価とされていました。矛や弓矢は、鉄の部分が先端部分だけになっています。しかし刀の場合は刀身すべてを鉄で作る必要がありました。柄は鉄製ではありませんが、柄の中に収めている茎(なかご)の部分は刀身と一体化している鉄製です。武器としては高価で、弓矢などと比べて攻撃の範囲の狭い刀は、当時から実戦向きではなかったのでしょう。三種の神器のひとつであり、天皇家の御守りとされる刀ですので、武器というよりは権威の象徴とされていたそうです。