金象嵌銘とは何か

日本刀について学んでいく上で、さまざまな武将の手を通ったとして有名なある日本刀が存在します。その日本刀は、数々の有名な武将が所有していたとされています。また、織田信長が圧倒的に不利な状況から勝利したことで有名な桶狭間の戦いにおいて、織田信長が勝ち取ったと言われているほどの日本刀なのです。そして、茎を切り詰め短くする磨上げを行い、もともと長かった大刀を短くし、そのことを記念して金象嵌によって記録したそうです。金象嵌とは、日本刀の茎に金をはめ込んで、その日本刀にまつわる物事や人物を記したものです。そして、その織田信長が勝ち取った日本刀は、有名な彫刻師によって金象嵌が行われたと考えられています。これによって、日本刀自体の価値以外にも歴史を記したものとしての付加価値が付くのです。その名刀は、残念なことに大きな火事によって、焼けた身となってしまいましたが、金象嵌はかろうじて残ったと言われています。

さて、日本刀の茎に金象嵌銘を入れるようになったのは、桃山時代あたりだと考えられていますが、それ以前にも初期の象嵌はあったと考えられています。また、桃山時代のある日本刀の鑑定士が作った、最も有名な金象嵌の入った日本刀は、国宝にもなっています。この金象嵌という文化は、豊臣秀吉の時代には、すでに一般的にその習慣が根付いていたと考えられています。そのため、それ以前から日本刀の鑑定をした後は、象嵌を施すという文化が芽生えて広まっていったと考えられます。そして、徳川の時代には、ある有名な鑑定士が鑑定することによって施された金象嵌は、とても気高く素晴らしい風格を持っているものもあるそうです。