日本刀の長さによって物打ち部位は変わる

日本刀にとって物打ち部位というのは、置いたときと、柄を握ったときと、柄の握り方によって変わってくるそうです。

時代劇で、柳生流とか月影流とか日本刀を構える形がいろいろ違ったりしますが、柄の握り方ひとつで斬るのに最適な部位が変わるということのようです。ただ、その影響はほとんど変わりがないというのが研究者の結論のようです。それでも刀剣術によって多少の違いはあるということなので、命が掛かった場面ではそのほんの少しの違いも勝負に関わってくるような気がします。時代劇でしか知らないので、構え方もぜんぜん違うのかもしれませんが。剣術の流派によって、武術的な物打ち部位の認識は多少異なったとしても、衝撃工学的な観点からは定寸の日本刀の物打ちの中心は、鋒の先端から20〜21cmの位置だそうです。鋒の幅と形状にもよるそうですが、横手筋からは下部へ五寸〜六寸ほどの部位といえるそうです。

過度応答というのは、定常的な振動状態になる前の、衝撃を受けた直後のランダムな変位や応力の変動のことをいうそうです。日本刀の物打ち部位は、曲げ振動の一次固有振動モードの節とは一致しないそうです。それでも近いといえるそうです。日本刀の物打ちの中心部位は一定ではないということで、日本刀の長さによって変わるということがいえるそうです。定寸を超える長い太刀の場合では、物打ちの部位はさらに下部に移動するそうです。脇差のような短い刀は、物打ちの部位は鋒方向に寄ると推定されているそうです。鋒三寸のところに物打ちがあると、一般的には思われているそうですが、実際には違うそうです。鋒三寸という言葉自体が、舌先三寸とか、胸三寸というような言葉と同じように、象徴的にいっているだけということもあるようです。