値段が安くて楽しめる刀の一つに脇差がある。サラリーマンの日本刀である。
脇差は、定寸と呼ばれる二尺三、四寸のものより短く二尺未満であるが、有名工から無名工に
至るまで全てが制作している。限られた経済力の人が楽しむには最も手頃だろう。
■10万円~15万円(昭和46年当時)
源盛昌 43.2cm
大和系で盛高を祖とする金剛兵衛の弟子。作刀は多い方ではないが、
この刀は末古刀。 地鉄板目 直刃
■15万円~20万円
武州住照国 45.5cm
下原刀は数が多い。この刀は室町時代末期のもの。乱れ、飛焼あり、湧付、砂流し多く、見所
が多い
■20万円~25万円
加州住貞之 46.5cm
江戸時代から加賀に住んだ一人鍛冶。いわゆる郷土刀工の刀である。この刀は互の目、沸
出来。
■25万円~30万円
上野大○久国 46.cm
元禄時代の土佐の刀工。いわゆる”脇物”であり、本流をそれるが脇差にも良い刀が少なく
ない。板目。小沸出来 互の目乱
■30万円~35万円
伊賀守藤原金道 51.2cm
寛文の頃の山城の刀工
十代まで各代が栄えた。互の目箱がかり、帽子小丸にかえる。
■35万円~40万円
肥州河内守藤原正広 46.5cm
初代正広の子。肥前刀工のうちでも名門の刀工。刀は直刃で、地鉄は小杢目。
■40万円~50万円
川部儀八郎藤原正秀 37cm
この刀工は清麿、左行秀らと並ぶ新々刀期の大スターである。理論家、教育者として優れる。